なぜコーヒーオタクがイスラム教に興味を持つのか?



以前このBLOGでも書きましたが、駐在したての頃、わたしはアブダビのコーヒーの水準の低さにガッカリしていました。

欧米のいうスペシャルティーコーヒーなんて洒落たものは求めませんが、コーヒー焙煎所や専門店がいたるところにあり、家庭でも焙煎したりして、質の高いコーヒーが伝統的な作法によって提供される、というようなものを想像していたのです。

 

と こ ろ が

 

① 欧米資本のロースターはともかく、アラブ系のコーヒー焙煎業者や、伝統あるコーヒー専門店が無い。

② コーヒーはROASTERYという名のお店で、ナッツや香辛料と同じ括りにされ、種類も少なく、産地も良くわからない。

③ 取引先でも当たり前にネスカフェが出てくる。
※ アラビックやトルコ式のコーヒーを出してくれるところもありますが。

④ 何気なく飲んだコーヒーが、うわ、これ美味しい!となるような、ドラマチックな感動体験にあったことが無い。

 

むしろ、欧米系のロースターやカフェにより、コーヒーの楽しみ方を教育されているような感じなのです。

 

なぜにここまで悔しい(?)のかというと、コーヒー文化の起源は、もともとイスラム教にあるからです。

 

このBLOGのドメインであるQahwahも、コーヒーの語源とされるカフワから取っています。

Qahwahはアラビア語で「食欲を削ぐもの」という意味ですが、文献によれば、ワインやカート(日本では規制されている嗜好品)もそれに含まれます。

コーヒーは、スーフィーと呼ばれるイスラム教の宗派が、食欲を抑えるため、そして夜通し祈りを捧げるために飲用していた“Qahwah”です。元々は神聖なツールだったようです。

その後、コーヒーは、ワイン(お酒)とは違うのか、そして炭とも違うのか(イスラム教では焦げたものは食べちゃダメ)、などの論争を切り抜け、漸くイスラム教で認められるようになりました。

 

その後、コーヒー文化はイスラム諸国で発展を遂げ、イエメンのモカ港を通じてヨーロッパに渡ります。そこでも、「悪魔の飲み物」呼ばわりされたりと、大変だったようですが。

① コーヒーの飲み方を伝授し、拡販するためのコーヒーハウスが生まれ、ヨーロッパに伝わった。

② 公でも家でもない、身分や階級とは解放された第3の社交場が生まれた。

③ 議論や情報交換の場として、また、郵便、金融、その他あらゆるビジネスのハブとなった。

④ アルコール以外の飲料がヨーロッパに伝わり、「素面の交流」が生まれた。

 

カフェを3rd placeと呼ぶことがありますが、その礎(というか、もっと凄そうなやつ)は、16-17世紀には既に世界にあったのです。

 

このような歴史がありながら、なぜUAEにはあまり受け継がれていないのだ!

 

と、いうのが、わたしのガッカリしている理由です。

 

まぁ、建国45年の国だし、仕方ないか(?)

 

 

あ、唯一受け継がれていそうな伝統がありました。

 

エミラティは夜型。
(でも夜通しお祈りしている様には見えない。)




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